
待ちに待ったボジョレーヌーボーの解禁日!
世界中の人が楽しみに待っているものですね。
でもどうして、世界中で解禁日が決まっているのでしょうか?
実はフランスでは、解禁日前に販売した業者には罰則があるのです!
ここでは、ボジョレーヌーボー意味や解禁日の理由などについてご紹介し、皆さんがよりボジョレーヌーボーを楽しめるようにしたい思います。
ボジョレーヌーボーの意味とは?
そもそも、ボジョレーヌーボーとはどういったワインのことなのでしょうか?
ボジョレーとは、フランスのブルゴーニュ地方南部に位置する丘陵地帯の名前です。
このボジョレー地区の山のふもとに、19世紀から続くワインの生産地域があります。
そこで生産されるワインのうち、「ボジョレー」と名乗るためには使用するブドウの種類がAOC(原産地呼称統制)により決められているのです。
- 赤ワイン:ガメ種
- 白ワイン:シャルドネ
地ワインのボジョレーワインを作るにあたり、生産者たちはその年のブドウの出来をチェックする必要がありました。
そのため、通常のワインとは異なる製法で急速発酵させ、試飲用に作ったものが「ボジョレーヌーボー」なのです。
「ヌーボー(Nouveau)」とは「新しい」という意味ですが、ボジョレーヌーボーは通常のワインの新酒とは違います。
ブドウの出来をチェックして、その年のワインの出来を予想するための「試飲酒」であり、もともとはワイン業者がその年の購入量を決めるための指針でもあったのです。
日本語では「炭酸ガス浸潤法」という急速醸造方法。
通常ブドウを破砕して発酵させますが、この方法は破砕せず、縦長タンクにブドウを入れ、ブドウ自身の重みで下の方のブドウがつぶれることで自然な発酵を促します。
自然発酵により二酸化炭素が発生すると、縦長タンク内が炭酸ガスで満たされ、まだつぶれていないブドウ内の酵素が働いて、全体的な発酵が進んでいくのです。
(外から炭酸ガスを注入する方法もあります)
この方法では数週間で色味のしっかりした、タンニンの少ないまろやかなワインが出来上がります。
炭酸ガスによって酸化が防止されるため、ワインは果実味の溢れるライトな仕上がりとなります。
解禁日の由来とその理由
ボジョレーヌーボーは、もともとワインを作る農民たちが収穫を祝ったのが始まりとも言われています。
11月11日は聖マルタンの日であり、収穫祭の日です。
そのため、以前は11月11日の収穫祭に、その年初めて収穫されたブドウを使って作ったヌーボーを祝って飲んだのです。
しかし、日付を固定してしまうと毎年曜日が変わることになります。
フランスでは日曜日はほどんどのワインショップもレストランだけでなく、運送会社までもが休みのため、ボジョレーの売れ行きに影響が出てしまいます。
そのため1984年、フランス政府により【毎年11月の第3木曜日】を解禁日と設定されたのです。
ボジョレーヌーボーの解禁日を違反すると、罰則がある?
ボジョレーヌーボーの解禁日は、「毎年11月の第3木曜日未明の午前0時」と定められたわけですが、各メーカーがどこよりも早くヌーボーを出荷し、売り上げを稼ごうと競い合うようになってしまいました。
それがどんどんエスカレートしていき、まだワインとして十分にできあがっていない粗悪なものまで出回るようになってしまったのです。
ボジョレーヌーボーが日本へ空輸され始めたのは1976年で、バブル景気の1980年代後半には我先にボジョレーヌーボーを味わいたいと、解禁日未明の午前0時に「新東京国際空港(現成田国際空港)」で待ち構えて飲む人まで現れる状況でした。
どれほどボジョレーヌーボーを先に販売する需要があったかおわかりになるかと思います。
そういった先行販売による粗悪品の出荷を防ぐため、フランスのワイン協会は「解禁日に販売した業者には、今後ワインを卸さない」と罰則を決め、取り締まることにしたのです。
ボジョレーヌーボーの梱包箱には「〇〇年11月〇〇日午前0時以前の販売および消費 厳禁」と注意が書かれています。
しかし、この規制はフランスのワイン法によるものであり、日本で解禁日を違反したからといってフランスのワイン法により罰されることはありません。
けれども、フランスから輸入する時の契約として、日本の業者は解禁日前に販売しない旨を約束しているため、日本でも解禁日が守られているのです。
面白いのは、世界には時差がある点です。
10月から始まる冬時間では、日本はフランスよりも8時間早く解禁日を迎えるため、本場フランスよりも早くボジョレーヌーボーを飲むことができるというわけです。
日本は世界的に見ても、ボジョレーヌーボーの解禁日が早いなんて、面白いですね。
ちなみに世界のボジョレーヌーボーの輸出量のうち、半分以上が日本に出荷されているのです。
日本人のワイン消費量は年間2リットルと言われており、対するヨーロッパでは少なくとも20リットル以上。
消費量の多いイタリアでは48リットルにもなります。
それなのに、ボジョレーヌーボーの大輸出国が日本であるとは、イベントやパーティ好きな国民性があらわれていると言えるかもしれませんね。
さぁ、ボジョレーヌーボーについて、ご理解いただけましたでしょうか。
フレッシュな果実味が特徴のボジョレーヌーボーですから、少し冷やして飲むのがおいしい飲み方です。
普通のワインならば、冷やしすぎるとタンニンの渋みが強調されて飲みにくいのですが、タンニンの少ないボジョレーヌーボーなら大丈夫!
飲む時間の一時間ほど前に冷蔵庫に入れておけば、よりおいしく楽しめることでしょう。
この時のグラスは、繊細な香りを逃さず楽しめる、口の狭いグラスがおススメです。
また、通常のワインと違い、その製法の違いからボジョレーヌーボーは寝かせても美味しくなるわけではありません。
購入したら、なるべく早くその年のブドウのおいしさを感じながら、ボジョレーヌーボーを味わってみてくださいね。
19世紀から続く歴史の味わいを、楽しめることでしょう。