
イースターとは、キリスト教の国ではとても大切な日!
家中を卵のモチーフやかわいいウサギで飾ったり、エッグハントをして遊んだりします。
ディズニーリゾートでもこの時期はキュートな卵型のグッズなどが並び、楽しいシーズンですね。
ここではイースターを祝う国であるイタリアやフランスではどんな過ごし方をするのか、どんな特別なお菓子を食べるのかをご紹介します。
ワクワクする楽しみ方を是非知ってください♡
イースターの過ごし方とは
イースターとは、イエス・キリストが人々の罪を背負って十字架にかけられた三日後に、予言通り復活して皆の前に姿を現した日を祝うものでしたね。
日本語では「復活祭」といい、卵や野ウサギがモチーフとして使われている深い理由もご説明しました。
他にも、イエス・キリストが「世の中の罪を引き受ける、神の子羊」と言われたことから、子羊もキリストの象徴として大切にされています。
イースターは、日付は変われど毎年必ず日曜日。
満月直後の日曜日にキリストが復活したのを祝っているのです。
では、各国の伝統的なイースターの過ごし方をご紹介しましょう。
フランス
フランスではイースターのことをPâques(パック)といいます。
この日の2日前の金曜日から3日間は、全ての教会の鐘がキリストの死を悼んで鳴りません。
その間、鐘たちは空を飛び、ローマ法王のいるバチカンへ行くと言われています。
バチカンでローマ法王と共にキリストの復活を祝い、日曜日の朝、鐘の中にイースターエッグをいっぱいにして、空からキリストの祝福であるイースターエッグをまき散らしながら再び自分の教会に帰ってくるのです。
日曜日のイースターの日、再び鐘が鳴り始めた時に、両親は子供たちにこう言います。
「ほら、鐘が帰って来たよ!見てごらん!」
子供たちは大喜びで外へ出て、空飛ぶ鐘を見に行きます。(もちろん伝説であり、見えませんが)
その間に、両親はイースターの特別なお菓子(チョコレートでできた魚やうさぎ、卵など)を家の中に隠すのです。
家の中に戻って来た子供たちは、天からもたらされたお菓子たちを探しに行くのです。
イタリア
イタリアではイースターをPasqua(パスクア)といいます。
この日には子供たちや恋人など、大切な人にチョコレートでできたイースターエッグをプレゼントします。
イタリアのイースターエッグは特別で、なんと卵の中からプレゼントが出てくるという楽しいもの!
子供用のプレゼントから大人用のものまで、様々な種類が用意され、中には等身大ほどの大きなチョコレートエッグまであるのです♡
プレゼントはチョコレートで汚れないよう包装され、溶かしたチョコレートを糊がわりにして内側にしっかり固定してあります。
イースター(復活祭)に、新しい命の象徴であり復活のシンボルであるイースターエッグをプレゼントする習慣なのですね。
それでは、イースターの特別なお菓子をご紹介しましょう。
フランスのお菓子
チョコレートエッグ
全国共通の、チョコレートでできたイースターエッグ。
中には何も入っていません。
チョコレートベル
イースターエッグを運んでくる空飛ぶ鐘を、チョコレートで象っています。
ベルには羽が付いたものもあり、バチカンから飛んで帰ってくる様子が目に浮かびますね♡
有名なメーカーはチョコレートで有名なスイスブランド、リンツです。
チョコレートフィッシュ
キリスト教徒が迫害されていた頃、魚はキリスト教を表わす隠れシンボルでした。
また、キリストが十字架にかけられたイースターの2日前の金曜日には、キリスト教徒は肉類を食べません。
そのかわり、魚を食べる習慣があるのです。
イースターネスト(Easter nest)
鳥の巣を意味するネスト(Nest)。
パウンドケーキでできた鳥の巣をチョコレートで飾り、中にチョコレートエッグを入れます。
子供たちにも大人気のお菓子です。
アニョー・パスカル(Agneau Pascal)
イースターの日にだけ食べれる、立ち上がって今にも歩きだしそうな子羊の形をしたケーキです。
子羊は、イエス・キリストのシンボルです。
フランス東部のアルザス地方から伝わったとされており、子羊の形をした陶器型の中にケーキの生地を流し込んで焼くのです。
可愛らしいですね♡
ラ・フアス(La Fouace)
16世紀には南フランスのアヴェロンで作られていたという、オレンジフラワーの香りがふんわり香る焼き菓子です。
丸い形が伝統的で、ブリオッシュに似た食感です。
ワインにも良く合い、イースターの時期にはどこのフランスの家庭でも用意され、子供も大人もとても楽しみにされています。
イタリアのお菓子
コロンバ(Colomba)
コロンバとは、平和のシンボルである白い鳩のこと。(公演にいる灰色のものと区別されます)
キリスト教にとって重要な【ノアの箱舟】でも、白い鳩は洪水の水が引き、大地が再び現れたことをノアに知らせてくれる大切な役割がありました。
そのため、教会には白い鳩のモチーフが重要な場所に用いられています。
その白い鳩をモチーフにした焼き菓子は、中世時代からイースターの伝統的なお菓子として広く愛されていました。
中でも、クリスマスの伝統的なお菓子「パネットーネ」を作っていたミラノのモッタ社 (Motta)が、1930年代に販売を始めたものが有名になりました。
中にはオレンジピール、フルーツキャンディが練り込まれ、表面にはアイシングとアーモンド、あられ砂糖が散らされ、ふんわりと香ばしく焼き上げられます。
パネットーネに似て、とても香り高くておいしいのですよ。
パスティエラ(Pastiera)
南ラツィオ州やカンパーニャ州で伝統的なイースターのケーキ。
生地の中にはリコッタチーズ、フルーツキャンディ、オレンジピールそして牛乳で煮た小麦が入っています。
そしてシナモンとバニラ、オレンジフラワーの豊かな香りに、後引くおいしさですよ。
その歴史は、古代ギリシャ時代まで遡ると言われています。
イタリアでは、パスティエラはパルテノペという人魚が作ったと言われています。
その物語をご紹介しましょう。
中でも最も歌声の美しいパルテノペという人魚は、毎年春にはナポリに住む人々に歌を披露していました。
人々は感動し、美しい歌声のお礼として、リコッタチーズ、小麦、卵、オレンジフラワーエッセンス、砂糖、シナモンなどのスパイスをパルテノペに献上したのです。
パルテノペは喜んで、それらの素材を使ってパスティエラを焼き上げたということです。
古くからの歴史があるお菓子なのですね。
【眠れる森の美女】や【シンデレラ】の元となった物語が収められた、世界最古の民話集ペンタメローネ(五日物語)の中でも、パスティエラは登場します。
シンデレラの結婚式の大晩餐会で、デザートとしてパスティエラが振る舞われたとされているのです。
最近では、カスタードクリームやチョコチップが入ったものも人気です。
お米の生産が盛んだったサレルノでは、小麦の代わりにお米を牛乳で煮たものが入っています。
地域のお菓子屋さんが独自のこだわりで作る、伝統的な味なのですね。(そのため、有名なメーカーはありません)
カッサータ(Cassata)
9世紀からの歴史がある、シチリアの伝統的なイースターのお菓子です。
とても人気なので、今ではイースターだけでなく、いつでも食べることができます。
羊のリコッタチーズ、スポンジ、アーモンドペースト、フルーツキャンディで作られたケーキです。
地方によってはピスタチオ、松の実、シナモン、チョコレートチップ、オレンジフラワー、マラスキーノというさくらんぼのお酒が入っているものもあります。
ピッツァ・ディ・パスクア(Pizza di Pasqua)
中央イタリア、特にラツィオ州とウンブリア州の伝統的なイースターのお菓子。
これは私達が思い浮かべる普通のピザとは違うのです。
ピッツァという名前がありながら、パウンドケーキのようなもの。
小麦粉、卵、イースト、砂糖でできたふんわり生地に、バニラとシナモンが香ります。
中にはレモンピール、オレンジピール、フルーツキャンディ、大きめのチョコチップが混ぜ込まれています。
イースターの子羊(Agnello pasquale)
南イタリアのプーリア州とシチリア島で伝統のイースターのお菓子。
マジパンで、イエス・キリストの象徴である子羊を象ったものです。
プーリア州のものは、中に特別な卵のクリームが入っています。
シチリア島のものは、子羊の中にピスタチオペーストが入っています。
いかがでしたか?
キリスト教の国では、伝統的な物語と共に、大切なお菓子がたくさんありましたね。
是非一度、召し上がってみてください!