
紅茶の文化といえば、やはりイギリスを思い浮かべますね。
イギリスでの紅茶の飲み方は日本と随分違いますし、イギリス国内で人気の紅茶メーカーも、日本のそれとは違うのです。
まだ日本に入ってきていない、おいしい紅茶のブランドを是非試してみてくださいね。
イギリスの紅茶の飲み方とは?
ヴィクトリア王朝時代から生活に密着している紅茶ですが、イギリスではどのように楽しむのでしょうか。
「イギリス人は一日に7回紅茶を飲む」という言葉があるように、一日に何回もティータイムがあり、それぞれにちゃんと名前があるのです。
そしてまた、その時々によって楽しむ紅茶が違うのです。
- アーリー・モーニング・ティー(Early Morning Tea):朝一番の起き抜けに、ベッドで飲む紅茶(眠気覚ましと水分補給に、濃い目のミルクティーを)
- ブレックファスト・ティー(Breakfast Tea):朝食と共に(ボリュームたっぷりの朝食に合わせ、しっかりとコクのある紅茶を)
- イレブンズィズ(Elevenses):11時頃の休憩に(朝の一仕事を終えてほっと一息、リフレッシュのために、癖がなく爽やかな味わいの紅茶を)
- ランチ・ティー(Lunch Tea):昼食と共に(13時頃、サンドウィッチに合うミルクティーを)
- ミッディ・ティーブレーク(Midday Teabreak):16時頃、軽いティータイムで(簡単なビスケットと共にミルクティーを)
- アフタヌーン・ティー(Afternoon Tea):遅い夕食の前に、軽い食事とおしゃべりを楽しむためのティータイム。来客時や休日に(きゅうりのサンドウィッチやスコーンを添えて、華やかな香りや話題性のある珍しい紅茶をミルクティーで)
- ファイブ・オクロック(Five O’clock):仕事を終え、コンサートなどへ行く前の軽食と共に(お出かけ前のチャージとして、風味のしっかりした紅茶を)
- ハイ・ティー(High Tea):一日の仕事を終え帰宅し、家族で夕食と共に(夕食を邪魔しないよう癖のない香りで、味のしっかりした紅茶を)
- アフター・ディナー・ティー(After Dinner Tea):夕食後のくつろぎの一時に(リラックスできるフレーバードティー、ハーブティーを。時には食後の消化を助けるためにもブランデーやリキュールを加えて)
- ナイト・キャップ・ティー(Night cap tea):寝る前に(良い香りの紅茶やハーブティーで身体を温め、リラックスを促すことで健やかな眠りを)
イギリス人にとっての紅茶は、面白いほどの種類を飲み分ける、イタリア人にとってのエスプレッソのようですね!
世界で一番の茶葉消費量を誇るのはどこの国?
イギリス人にとって、紅茶は身体のためでもあり、楽しいコミュニケーションのためでもあるのですね。
それでは、一人当たりの年間紅茶消費量のランキングを見てみましょう。
- トルコ:3.15kg
- アイルランド:2.19kg
- イギリス:1.94kg
- ロシア:1.38kg
- モロッコ:1.21kg
- ニュージーランド:1.19kg
- エジプト:1.01kg
- ポーランド:0.99kg
- 日本:0.97kg
- サウジアラビア:0.90kg
紅茶の国、イギリスが一位…と思いきや、何と圧倒的一位はトルコでしたね!
日本の3倍もの紅茶を飲んでいるトルコの人々は、紅茶一杯に角砂糖を2つも入れて飲むのが当たり前。
それを人によっては一日に20杯も飲むと言うから驚きです!
また、イギリスよりもアイルランドの方が消費量が多いのも面白い結果でしたね。
そこには中世時代からの歴史が関係していると思われます。
昔、イギリスでは紅茶の関税が高かったため、紅茶は貴族の飲み物でした。
しかしアイルランドでは当時税金が安く、良質な紅茶を庶民が楽しめたのです。
その名残が、今に至るのではないでしょうか。
イギリス国内で有名な紅茶メーカーの一覧と特徴
イギリスでは、毎日1.65億杯もの紅茶が飲まれており、一年に換算すると約602億杯!
そのうちの96%は、ティーバッグで淹れています。
また、98%をミルクティーにして飲むというのがイギリス流。
なぜならイギリスのように硬度の高い水で紅茶を淹れると、色も味も濃くなるからです。
紅茶のことをBlack Tea(黒いお茶)と呼ぶのはそのためですね。
そこにたっぷりとミルクを注ぎ、お砂糖を加えて楽しみます。
残りの2%はストレートティーで。
つまり、レモンティーはほとんど飲まれていないのです。
このように日本とも楽しみ方の違うイギリスでは、どのようなブランドが人気なのでしょうか?
ご紹介しましょう!
- ティーピッグス(Teapigs):2006年創設。大きめの良質な茶葉、細砕しないホールのハーブ、花、フルーツを三角錐のメッシュティーバッグに閉じ込めています。「気取らない本物のお茶」がモットー。
- テイラーズ・オブ・ハロゲイト(Taylors of Harrogate):1886年創設。鉱泉の町と言われるハロゲイトの水を生かし、世界中から集めた上質な茶葉をブレンドした紅茶は、英国紅茶協会で幾度もトップを飾っています。
- トレゴスナン(Tregothnan):2005年に純イギリス産の紅茶を初めて生み出した会社。コーンウォールのトレゴスナンに紅茶に最適な土壌があることを発見し、改良を重ねて作られた「イギリス産」の高級な紅茶は、イギリス人の誇りとして知る人ぞ知るブランドです。
- インポリエント(Imporient):ルワンダでの茶葉の栽培から供給まで、全てイギリスの会社で行っている唯一のブランド。140年前から栽培の研究を重ね、イギリス人のライフスタイルに適った、様々な新しいブレンドティーを生み出しているのが特徴です。
- ファーラーズ・ティー&コーヒー・マーチャンツ(Farrer’s Tea and Coffee Merchants):湖水地方ケンダルにある、1819年創設の老舗の紅茶&コーヒー商。湖水地方の軟水に合うようブレンドされた紅茶のため、日本で淹れるにはぴったりのブランドです。
日本で知られていないブランドが、イギリスでは人気でしたね!
水の違いが紅茶の楽しみ方にも影響しているのが面白い点です。
紅茶は、最大でもコーヒーの半分の量しかカフェインが入っていないため、寝る前にでも比較的安心して飲めるものです。
ジャムやリキュールを加えたり、アイスやホットで楽しむなど、紅茶のアレンジも本当にたくさんあります。
お気に入りのお菓子と一緒に、皆さんもぜひ楽しんでみてくださいね。