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ヨーロッパのクリスマスの過ごし方。ツリー飾りやケーキの意味とは?

約 1 分
ヨーロッパのクリスマスの過ごし方。ツリー飾りやケーキの意味とは?

ヨーロッパの人々にとって、クリスマスシーズンは一年で一番大切な時期です。

キリスト教と深くかかわるクリスマスですから、日本とは過ごし方が全然違うのです。

日本では、イヴにはレストランを予約して、恋人と豪華な食事をし、プレゼント交換をする…というイメージがあるかもしれませんね。

クリスマスの本場であるヨーロッパでは、恋人よりも家族で過ごすのが一般的なのです。

しんとした静寂に包まれ、厳かに、家族でテーブルを囲んで過ごすヨーロッパのクリスマス。

この違いには、ローマ時代からヨーロッパに根付いていた太陽信仰と、キリスト教が影響しています。

海外旅行中にクリスマスをヨーロッパで過ごすならば、ぜひ前もって歴史的背景や文化を知っておいていただきたいと思います。

それにより、旅がずっと味わい深い旅になること間違いありません!


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ヨーロッパのクリスマスの歴史と、伝統的な過ごし方

サンピエトロ大聖堂

皆さんは、クリスマスはキリストが誕生した日だと思っていらっしゃるかもしれません。

でも実は、キリストが誕生した日は、聖書のどこにも記載がありません。

キリストの現われるずっと前から、12月25日はヨーロッパの人々にとって特別なお祝いの日だったのです。

キリストの誕生が12月25日になった理由

紀元前、ヨーロッパを覆いつくすほど領土を広げていたローマ帝国では、広く多神教が信仰されていました。(日本の八百万神と同じですね。)

中でも最も厚く信仰されていたのが、ミトラという太陽神です。

旧暦の冬至(昼の長さが夜より長くなるスタートの日)は12日25であり、この日を太陽が闇に勝った特別な日、再生の日として、祝われていたのです。

しかしキリストが誕生し、その300年後に一神教としてのキリスト教が広がり始めた頃。

当時のローマ皇帝であったコンスタンティヌス1世は、ローマ帝国を統治するため、一神教であるキリスト教の力を借りて皇帝の権威を決定付けようとしました。

そこで、それまで迫害していたキリスト教を、ローマ帝国として正式に公認したのです。(313年:ミラノ勅令)

コンスタンティヌス1世自身もキリスト教の洗礼を受け、ついにはキリスト教を国教と定めたのです。(392年)

この過程で、もともとの太陽信仰の人々に、新しい宗教を受け入れてもらいやすくする必要がありました。

そこで、昔から最も重要とされた太陽神の祝いの日(12月25日)を、キリストの誕生の日と決めたと言われています。

そしてキリスト(Christ)への礼拝(mas)という意味から、この日をクリスマス(Christmas)と呼ぶようになりました。

イタリアの伝統的なクリスマスの過ごし方

バチカン市国でののクリスマス

時代を経て、キリスト教には様々な宗派が生まれましたが、その最大の宗派であるカトリック教会についてお話ししましょう。

カトリック教会の総本山は、世界一小さな国であるバチカン市国の中にあります。

なんとこの国、イタリアのローマ市内にポツンと存在しているのです!

カトリック教会の総本山は、目を奪われるほど壮麗なサン・ピエトロ大聖堂。(4世紀に創建)

クリスマスには、キリストの誕生を祝って世界中からカトリック教徒が集まり、ミサに参列します。

イタリアのクリスマスシーズンは、12月8日(聖母受胎祭:マリアがキリストを身ごもった日)~1月6日(公現祭:生まれたばかりのキリストを、三人の賢者が礼拝に訪れた日)まで。

その間、街中がキリストの降誕を待ち望む、静かで喜びに満ちたような、朗らかな雰囲気に包まれます。

街中に大きなモミの木のクリスマスツリーや、プレセペというキリスト誕生の瞬間を表わすジオラマが設置されます。(詳しくは後述)

ただ、12月24日の深夜までは、そのジオラマの中にキリストはいません。

日付が変わって25日になった瞬間に、マリアとヨセフの見守る先に、生まれたばかりのキリストが置かれ、キリスト降誕となるのです。

また、街中だけではなく、各家庭の中にもプレセペや、鉢植えのモミの木を飾り、きれいにデコレーションします。(詳しくは後述)

そして、用意したクリスマスプレゼントをモミの木の下に置き、25日を待つのです。

イタリアの24日と25日は、ほとんど誰もがお休み。

お店や公共機関、レストランまでがお休みになるのです。(観光都市ならば中心街は開いています)

それほど、クリスマスは日常とは違う大切な日なのです。

そして遠方から家族全員が集う、待ち遠しい日でもあります。

クリスマスイヴには家族で食卓を囲み、マンマ(お母さん)のおいしい手料理(メインは魚料理が多い)を味わいます。

でもカトリック教徒の人々は、イヴの夜にはお肉を食べないのが伝統的

質素な食事をし、キリストの誕生を厳かな気持ちで待つということなのです。

ターキーを食べるアメリカの文化が色濃い日本とは、随分違いますね。

家族での夕食と、クリスマスの特別なお菓子を食べた後には、皆できちんと正装し、教会のミサに出席します。

聖歌や祈りと共に25日を迎え、キリストの降誕を祝うのです。

キリストの深い愛を感じながら、この人生に感謝し、家族の幸せを祈る、一年で最も神聖で美しい一日です。

翌朝には、クリスマスツリーの下に置いてあったプレゼントを開け、喜び合います。

家族や親しい友人たちと集まって、クリスマス伝統のゲームをして盛り上がり、大切な人たちとの温かい時間を楽しむのです。

また、イタリアでは1月6日に「ベファーナ」という魔女が、ほうきに乗ってやってくると言われています。

良い子には靴下にお菓子を入れてくれ、悪い子は石炭を入れられてしまうそう!(この時期、スーパーでは黒い石炭の形をしたお菓子が並びます。)

これは、キリストが生まれた時に三人の賢者がキリストを礼拝し、誕生祝を差し出したことにちなみます。

イタリアに白いおひげのサンタクロースがイタリアに伝わったのは、もっとずっと最近のことなのです。(アメリカから入って来た文化。)

サンタクロースの起源とは?

トナカイのそりに乗ったサンタクロース

私たちの知っている赤い服を着たサンタクロースは、実は4世紀の東ローマ帝国に実在した、司教ニコラウスからきています。

ニコラウスが真夜中に貧しい家庭を訪れ、窓から金貨を投げ入れたところ、暖炉に下げられていた靴下に金貨が入ったという逸話が起源となったのですね。

彼には無罪の死刑囚を救った聖伝も残されており、教会では聖人として列聖され、「聖(セント)ニコラウス」と呼ばれるようになりました。

セントニコラウスはオランダ語で「シンタクラース」であり、彼の命日である12月6日は、シンタクラース祭として祝われる慣習が長らくあったのです。

17世紀にアメリカに移住したオランダ人により、シンタクラースが伝わり、それがサンタクロースの語源となりました。


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クリスマスの過ごし方は、ヨーロッパ各国で違う?

ヨーロッパのクリスマスマーケット

上では、カトリック教会の色が濃いイタリアのクリスマスをご紹介しましたが、他の国はどうでしょう。

イタリアと同じく、カトリック教徒の多いスペイン、ポーランドなどでは、同じように1月6日にプレゼントがもらえます。

また、ヨーロッパ各国では「アドベントカレンダー」とうクリスマスまでの4週間を一日一日、数えるためのカレンダーがあります。

アドベントというキリストの降誕を待つ期間に、毎日カレンダーについた扉を開けていき、中に入った小さなプレゼント(お菓子など)をもらえるのです。

扉を全て開け終えると、クリスマスを迎えたことになるというわけです。

こうして子供も大人も、キリストの降誕を待ちわびるのですね。

では、ヨーロッパの中でもいくつか特徴的な国のクリスマスを挙げてみます。

ノルウェー・スウェーデン

夜の長いノルウェーでは、光は大変重要なものでした。

そして冬の最も夜の長い12月13日に、光の祭りとして「聖ルチア(サンタ・ルチア)祭」が祝われています。(ルチアとはラテン語の「光」が語源)

4世紀に聖ルチアが、キリスト教徒たちを迫害から守るため、トンネルの中にかくまい導いたと言われています。

その時、彼女は冠にろうそくを挿し、彼らを導いたということです。

その逸話から、スカンジナビア半島では豊かな家の娘たちが、赤いサッシと白いガウンを身に付け、頭にはろうそくのついたコケモモの冠をかぶり、村から村へと焼き菓子を配って歩くようになりました。

今でもノルウェーやスウェーデンでは、聖ルチア祭は白いローブとライトのついた冠を身に付けた少女たちの行進から始まります。

少女たちは、「Lussekatto」と呼ばれるサフランパンをバスケットに入れ、配って歩くのです。

フランス

真冬であっても、食事が生活の中心にあるフランス。

一年で一番楽しみにされているのは、クリスマスイヴのごちそうです。

イブの夜には、マルチコースのディナーをレストランや家庭で、長い時間をかけて楽しみます。

パリではオイスターがないと始まりませんし、フランス全体として愛されるフォアグラは、なくてはならない一品です。

プロヴァンスでは、人々は特別なクリスマスのパンの半分を貧しい人に与え、残りの半分を自分たちが食べるという習慣があります。

イングランド

イングランドのクリスマスの伝統は、エリザベス女王を讃え、女王自らが出演するクリスマス放送を視聴するという特徴が。

クリスマスイヴには、子供たちはファーザー・クリスマス(サンタクロース)にプレゼントのお願いを書いた手紙を、暖炉の中に投げ込みます!(ファーザー・クリスマスは緑色の服を着ています。)

そうすることで、煙突の煙に乗って、お願い事がファーザー・クリスマスまで届くというわけです。

もう一つ特徴的なのは、クリスマスの日に子供たちがクラッカーを鳴らすというもの。(19世紀から続いている)

大きな音を立ててクリスマスクラッカーを開けると、中からきれいな色紙や、小さなおもちゃやお菓子などが飛び出すのです!

子供たちは「おもちゃ!お菓子!」と大喜びします。

アイスランド

サンタクロースのかわりに同じ役割を担う、イタズラ好きの13人の妖精がいるのだそう。

彼らが12月12日から一人一人山から下りて来て、13人そろったらクリスマスを祝うというもの。

ヴァイキング時代のお祭りがキリスト教の影響を受けて変化し、そこにヴァイキング時代のいたずら小悪魔が融合したものと言われています。

その13人はそれぞれ名前を持ち、明確なキャラクター設定があるのです。

例えば、間抜けのガーリー、ちびのスタッビー、スプーンぺろりなど。

13人のうちの誰か1人が、良い子にはお菓子を、悪い子には生のジャガイモを靴の中に入れていくそう。

そのためアイスランドの子供たちは、12月12日の夜から窓辺に靴を置いておきます。

クリスマスの飾りやケーキは、ヨーロッパの人々の過ごし方から生まれた?

森のモミの木のデコレーション

クリスマスには、その時期だけに飾る特別な飾りや、おいしいケーキなどがあります。

それは紀元前からの伝統の名残であったり、その土地に住む人々の生活の中から生まれた、意味のあるものなのです。

ここでは、いくつかについてご説明しましょう。

モミの木

クリスマスツリー用の飾り

冬枯れの季節の中、常に緑の葉をつけたモミの木は、永遠の生命の象徴として大切にされていました。

一番上に飾る、トップスターキリストの誕生を賢者たちに知らせ導いたという、ベツレヘムの星を表わしています。

モミの木のデコレーションも、代々受け継がれて使っているものが多いのです。

両親も、祖父母も、子供の頃から同じデコレーションをモミの木に飾り続けている…その行為は、毎年の人生をかみしめる、思い深いものであるはずです。

古い物を大切にし続けるヨーロッパの文化には、見習うべきところがありますね。

さて、モミの木のデコレーションには、天使やりんご、色とりどりのボール、ベルやろうそくなどが飾られますね。

実はそれぞれに意味があるのです。

・天使:聖母マリアに、キリストを受胎したことを伝えに来た天使ガブリエル。

・りんご、ボール:寒い冬でも栽培できるりんご、そしてアダムとイヴの食べたとされる実。豊かな実り、太陽の恵みを意味する。

・ベル:キリストが誕生したことを世界に知らせ、正しい方向に導いてくれるベル。魔除け、お祓いの意味もある。

・ろうそく:モミの木のすき間から見える星の輝きを湛え、モミの木にろうそくを飾るようになったのがきっかけ。「J」の文字の形をしたろうそくは、イエス「Jesus」を意味するとも言われている。

プレセペ

プレセペ

上でも少しお話ししたように、クリスマスの時期に飾る、キリスト誕生の瞬間を模したジオラマ。

中には馬小屋だけではなく、キリストの生まれた町全体のジオラマが作られ、電気で水車が回ったり空の明暗を付け、夜には天使が降りてくる仕掛けがあるものまで。

全ての教会の中にはプレセペが飾られていますので、それも楽しみの一つになります。

また、クリスマスイヴには町の催しとして、人間がキリスト誕生の瞬間の登場人物を演じるプレセペもあります。

プレセペはイタリアで生まれ、ヨーロッパ各国(スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツ南部など)に広がりました。

パネットーネ(イタリア)

手作りパネットーネ

クリスマスの時期にしか食べられない、大人にも子供にも人気のお菓子。

ふわふわのブリオッシュ生地の中に、レーズン、プラム、オレンジピールなどのドライフルーツが入っており、とても良い香り!

大きなこのケーキは、クリスマスシーズンが始まると各家庭で焼かれ、親戚や友人たちに配る習慣がありました。

冬のクリスマスに、蓄えておいたドライフルーツを使って祝ったのですね。

冬のフルーツは豊かさ、実りの象徴なのです。

お菓子とはいっても、生地の発酵には必ずパネットーネ酵母が必要で、手間のかかる作業はまるでパンです。

そのため、パネットーネはお菓子屋さんではなく、必ずパン屋さんで作られます

パネットーネとは、イタリア語で「大きなパン」の意味。

※ドライフルーツの入っていないものはパンドーロと言い、イタリア語で「黄金のパン」という意味。

ブッシュ・ド・ノエル(フランス)

ブッシュ・ド・ノエル

フランス語で「クリスマスの薪」の意味。

クリスマスのお祝いにケーキを食べる習慣は、19世紀にフランスで生まれ、その起源となったのがこちらのケーキ。

紀元前からあった冬至祭に、薪でお祝いをしていたことから生まれました。

輪切りにしていないロールケーキの表面をココアクリームで覆い、フォークで樹皮の模様をつけてあります。

シュトレン(ドイツ・オランダ)

シュトレン

14世紀にドレスデンで生まれたお菓子。

生地にドライフルーツやナッツ類が入っており、表面に粉砂糖をまぶした、少し固めのお菓子。

キリスト降誕を待つアドベントの期間に少しずつスライスして食べる習慣があり、ドライフルーツの香りが徐々にパン生地に移っていくため、日に日においしくなる楽しみなお菓子とされています。

こちらもドライフルーツやナッツは冬の保存食。

キリストが誕生し、世界にももうすぐ春が来る…という喜びとともに、楽しんだ歴史があるのでしょう。

クリスマスプディング(イギリス)

フランベしたクリスマスプディング

ハリーポッターの映画にも出てくるこのお菓子は、16世紀には既にできあがっていたと言われます。

ケルト神話の収穫の神ダグザにあやかって作られた、プラムなどのドライフルーツとナッツ、ミンスミートと呼ばれる牛脂が入った、ずっしりと濃厚なケーキ。

食べる前にはブランデーをかけ、フランベしてからいただくのが伝統なのです。

実はこのケーキ、中に「指輪」や「硬貨」、「裁縫の指ぬき」などを入れて焼き、食べる時に引き当てた人にはそれぞれ「良い結婚」、「裕福」、「良い人生」が訪れるとされています。

これ、もともとは古来からケーキの中に護符を入れ、切り分けた時に当たった小物を見て運勢を占う習慣に由来しています。

このように、ヨーロッパのクリスマスは土着の信仰やキリスト教の影響が大きいことがおわかりになりましたでしょうか。

日本やアメリカとの大きな違いも、感じていただけたかと思います。

海外旅行でヨーロッパでクリスマスを過ごすチャンスがありましたら、ぜひ人々の信仰の深さ、伝統の歴史について思いを馳せてみて下さい。

神聖なミサ、暖炉を囲む家族、キリストの誕生を待ちわびる人々…それを知っているだけでも、とても味わい深く過ごせるのではないでしょうか。


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