
悲運と言われながらも精一杯にスケーター人生を走ってきた浅田真央選手が、2017年4月に突然引退発表をしました。
彼女の純真でひたむきな彼女が見せる演技は、多くの人の心を揺さぶり、感動を呼んできました。
浅田選手が引退を発表したことで、海外からも惜しむ声が続出しています。
ヨーロッパでは特に、フランス人に愛されていたことをご存知でしょうか。
なぜ浅田選手がフランス人に強く愛されてきたか、その秘密もご紹介します。
浅田真央選手のこれまでと、2017年引退発表まとめ
15歳で出場したジュニアグランプリで3戦全てに優勝をおさめ、日本でも揺るぎない実力はスケーターとして人気を博した浅田真央選手。
3歳から始めたバレエにより、しなやかで美しい表現力が魅力的でした。
順風満帆に見えた浅田選手ですが、2010年のバンクーバー五輪では苦渋の銀メダル。
その判定の是非が議論を呼び、また、ライバルのキムヨナ選手との比較をされて精神的にも辛い時期を迎えました。
2013年のソチオリンピックに向けて難しいステップなどを練習したのですが、団体戦や女子シングルSPでもミスが続き、放心状態になるほどでした。
しかしその翌日のFSではトリプルアクセル他、全6種類のジャンプを成功させるという大挽回を果たしました。
リンクで天を仰ぐようにして涙を流した感動のシーンは、今でも色あせず私たちの記憶に残っています。
浅田選手の静かな炎と信念が感じられた、素晴らしい競技でした。
そして2014年から、1年間の休養を経て、そして続投することを決意したのです。
復帰戦となった中国杯は優勝したものの、その後芳しい結果は残せず…体調不良にも見舞われ、幾度か競技をキャンセルしたこともありました。
結果も6位、9位…と徐々に落ちてゆき、最後となった全二問選手権では12位となり、世界選手権代表を逃すまでになってしまいました。
そしてこの結果をきっかけに、遂に2017年4月10日、自信のホームページで引退を発表したのです。
浅田選手の引退会見では、このように語ってくれました。
以下要約です。
何とか頑張ろう…とやってきたけれど、最後の日本選手権の結果を見て、もう良いのではないか、もう終わったんだ、と思ったのです。
ソチ五輪を最高の形で終え、気持ち的にもまだまだやれると思って挑戦し、気力も体力も全て出し切ったので、何も悔いはありません。
今は晴れやかな気持ちです。
私の全てがスケート中心の生活だったので、フィギュアは私の人生でした。
どんな形であれ、フィギュアに恩返しができる活動はしたいと思います。
今までたくさんのファンの方が応援してくださったおかげで、たくさんの山を越えてくることができました。
すごく励みとパワーになりました。
スケート人生で経験したことを忘れずに、笑顔で前に進んでいきたいと思います。
みなさん、応援どうもありがとうございました。
海外からの反応
確かに天使は氷の上に舞い降りました#浅田真央 #maoasada pic.twitter.com/LxOr1pwsKL
— izayukam (@SachikoHR) 2017年4月12日
本当に惜しまれて引退する浅田真央選手。
海外からも多くの惜しみの声があがっていますのでご紹介しましょう。
海外スケーターからの反応も想いがこもっており、胸が熱くなりますね。
- 今まで本当に美しいプログラムをありがとう。ありがとうの言葉以外に見つからないわ。
- 真央は素晴らしいスケーターの鏡でした。もう彼女のスケートを観ることができないのは、本当に悲しい。
- これからもっと幸せになってほしい!
- 真央が現役を引退すると知って、本気で泣いてしまった。残念です。
- あなたはフィギュアスケート界に大きな貢献をしました。人生は始まったばかりだよ!(プルシェンコ氏)
- あなたの情熱、忘れられない美しい演技の数々は、これからも私を刺激してくれることでしょう。(ジェイソン・ブラウン氏)
- 真央ちゃん、あなたの美しく素晴らしいキャリアをおめでとう。あなたの才能は氷を照らし、スケート界の道を変えてくれたわ。(アシュリー・ワグナー)
- 私達のスポーツを発展させてくれた真央に敬意と感謝を贈ります。これから先、最高の未来がありますように。(ラウラ・レピスト)
浅田選手の一途な頑張りが、このように世界を巻き込んで感動させてきたということが感じられますね。
なぜフランスで愛されるのか
フランスの偉大なスケーター、フィリップ・キャンデロロ(Philippe Candeloro)氏をご存知でしょうか。
浅田真央選手のゴッドファーザーを自称する、キャンデロロ氏。
彼は2010年のバンクーバー五輪女子フィギュアスケートSPの試合の際、キャンデロロ氏はフランス公共放送で実況中継を担当していました。
「007」を演じたキムヨナ選手が5.25点差で金メダル、浅田真央選手が銀メダルとなったこの採点について、苦言を呈したことを覚えていらっしゃるかもしれません。
彼はこの点差を理解できないとし、「真央の方が難しい演技をしているのに、なぜこのようになってしまうのか!?」「キムに異常な高得点を出したことはスキャンダルだ」と実況中継していました。
試合中、キャンデロロ氏だけではなく解説陣が総出で「ブラボー ジャパン!!」を連呼し、「真央選手は素晴らしい演技をした!フランスは完全に日本の見方だ!」と叫んでいました。
実は、フランスの誇るキャンデロロ氏を始め、フランス中で浅田選手は愛されていたのです。
フランスと言えば、高い美意識を持った国。
そんな国で浅田選手が愛される理由は何だったのでしょうか。
上の写真は、フランスのフィギュア誌Ptinageの記念すべき100号の表紙を、浅田選手が飾ったものです。
素晴らしいですね…!
フランスは、優雅な気品とエスプリを大切にするお国柄。
そのため、浅田選手の清らかな芸術性、トリプルアクセルを初めとする難易度の高い技巧、そしてバレエをベースに持った美しくしなやかなスケーティングに惚れ惚れしているのです。
実は浅田選手のジュニア時代から、フランスでは「ボナリーすら嫉妬する真央のジャンプ」と人気を呼んでいたほど。
フランスではわかりやすいエンタメ要素ではなく、内側からにじみ出る奥深い芸術美、人間としての魅力を感じ、浅田選手を応援してくれていたのです。
日本人として、誇らしいですね。
細やかに感じる感性と、強い精神力、そしてたおやかな優しさ、なめらかな美しさ…これらは日本人に古くから宿る、素晴らしい力です。
幼い頃からスケートに全てをかけてきた浅田選手、本当に素晴らしい感動をありがとうございました。
これからの人生が、幸せいっぱいでありますように。