
イタリアの名門サッカーチーム、ACミランがとうとう売却されてしまいました。
今年の夏で本田選手のミラン契約が終了する上に、チームが売却されたとなると、今後の動向が気になりますね。
更に知っておきたいのは、イタリアサッカー界の危うい実情です。
ここではACミラン売却の最新情報をイタリア情勢の中での売却理由、そして売却額と共にご紹介します。
ACミラン売却の最新情報!買うのはどこ?
世界的に有名なACミランは、4月13日、株式の99.93%を中国投資家グループの「ロッソネーリ・スポーツ・インベストメント・ルクセンブルク社」に売却することが決定しました。
その額、なんと7億4000万ユーロ。
日本円にして約888億円となり、中国資本による欧州クラブ買収では過去最高額です。
ACミランはイタリア元首相シルヴィオ・ベルルスコーニ氏の会社「フィニンヴェスト」が31年間に渡り保持し続けてきました。
その間、スクデット獲得8回、チャンピオンズ・リーグ優勝5回など、合計29ものトロフィーを獲得してきました。
その栄光あるイタリアサッカーの歴史が、遂に中国人によるチーム買収という形で幕を閉じたのです。
クラブ史だけでなく、イタリアサッカー史に残る重要な瞬間であり、大きな転換期を迎えたことになります。
新しい中国人オーナーであるリー・ヨンホン氏はこのように話しています。
「私を信頼してくれたベルルスコーニ氏とフィニンヴェスト社、そして辛抱強く見守ってくれたサポーター達に感謝しています。
これから一歩ずつ未来を切り開き、世界トップを取り戻しましょう!」
ミラノ出身のベルルスコーニ氏が、サッカー史上最も勝利を獲得した経験を捨て、ACミランから去るということは、どれほど苦渋の決断だったでしょうか。
その苦しい売却理由を見ていきましょう。
ミラン売却の理由と周囲の声とは
ベルルスコーニ氏が保有するいくつもの会社の中でも、黒字であるテレビ局の資金はどんどんACミランのために充てられてきました。
それでも賄いきれず、オーナーであるベルルスコーニ氏の資金を投入し、何とか今まで持ちこたえたものの、ACミラン自体はここ5年間、赤字経営でした。
そのため、このままACミランをベルルスコーニ氏が保持するには、保有する他会社にとっても悪影響を及ぼすことになると判断されたのです。
ベルルスコーニ氏はこのように話しています。
「悲しいが、ヨーロッパ最高レベルで戦っていくには、一家族の投資では限界になってしまった。」
そう、一個人であるベルルスコーニ氏がこれまで31年間もACミランを維持してきたというのは、素晴らしい快挙だったのです。
しかしこの時代になっては、企業や投資家グループがオーナーとなるのは仕方がないと専門家は言います。
ベルルスコーニ氏について、サッカー界から寄せられた声をまとめます。
- ACミランが世界のサッカー界に素晴らしい奇跡を残せたのは、ベルルスコーニ氏が単なる勝利ではなく、美しいパフォーマンスで勝利することを常に求めたからなのです。
- ベルルスコーニ氏は素晴らしい選手たちを連れて来て、監督や選手たちを励ましてくれた。彼はファンを楽しませることを望み、サッカーを愛していた。
- ベルルスコーニ氏はまたとない、唯一無二の改革者であり、会長だった。サッカー界が変わってしまったから、彼も悲しみながら正しい評価をしたのだろう。ミランのための決断だった。
- イタリア資本のままで残れば一番良かった。
そう、最後の「イタリア資本であれば一番良かった」という声は、イタリア現首相マッテオ・レンツィの声です。
そして皆、新たな経営陣が正しい戦略と目的を持ち合わせていることを切に願っているとしています。
イタリア人にとって、サッカーは特別なもの。
イタリアのチームが外国に買収されることは、何より心苦しいことでしょう。
しかし、そこにはイタリアサッカー界のこんな実情があるのです。
イタリアサッカー界の実情とは
経済的にも低迷を続けるイタリアでは、サッカークラブの経営は難航していることがほとんどです。
新しい優秀な人材の確保や補強費などの運営コストは大きく、サッカー試合の入場料やTV放映権、マーケティングによって得られる売り上げだけでは足りないのが現状なのです。
イタリアの3大ビッグクラブであるミラン、ユヴェントス、インテルのうち、ユヴェントス以外の2チームが中国資本の会社に買収されたことになります。
ミラノのチームであるミラン、インテルの両方が中国のものとなったのです。
他にも、2011年からローマはボストンに本拠地を置くイタリア系アメリカ人の投資家グループに買収されています。
イタリアのクラブに資金がなく、強い選手を集められない現状があるのです。
イタリアのオーナーたちは、イタリアのサッカー界を愛しているからこそ、イタリアクラブの勝利のために自分たちが退任し、大きな資本を持つ企業に明け渡すことを選択したといえます。
イタリアを愛するがゆえの苦渋の決断…そう考えると、胸が熱くなりますね。
中国の資金力は留まるところを知りません。
誰がオーナーになろうとも、自国の誇りを保って戦っていただきたいと思います。
今までお疲れさまでした。
これからもACミランを応援していきたいと思います。