
イタリア料理の代表であるパスタは、合わせるソースや用途によって、たくさんの種類があることをご存知ですか?
イタリアでは、なんと350種類程もの種類が存在するのです!
※同じパスタでも地方で別の名前で呼ばれることがあり、数え方は難しいのですが…^^
名前も形も、とっても可愛いものがたくさんあります。
ここではパスタの定義をおさらいし、特に有名なロングパスタの種類と使い方をご紹介していきましょう。
種類豊富なショートパスタについては、こちらにまとめてあります!
イタリアではロングパスタを使ったスープパスタはありません。
そのかわり、ショートパスタや、中に具のはいったパスタをスープで煮込む食べ方があるのですよ。
ソースによってパスタの種類を使い分けられるようになれば、あなたはもうイタリア料理通ですね♡
☆最後にパスタを食べる時のマナーも。紳士淑女の皆さまは、要チェックです!☆
古代ローマ時代からの歴史
イタリア半島では、紀元前4世紀の古代ローマ時代には、既に現在と同じようなパスタ製造機が見つかっています。
当時は保存用の乾燥パスタの技術はなく、毎回作りたての生パスタ焼いたり揚げたりして食べていました。
この時既に、フォークの原型となるものはあったようです。
その後、肉やミルクと共に茹でて食べる方法が普及していきました。
10世紀の頃にはチーズをかけるようになります。
13世紀に航海技術の発達により海外貿易が盛んになると、神聖ローマ皇帝や貴族たちは高級品である砂糖やシナモンなどのスパイスをパスタにからめて食べることもありました。
16世紀にはナポリで飢餓に備えるため、保存可能な乾燥パスタを作るようになり、全国に普及していきました。
そこで18世紀のナポリ国王フェルナンド二世は、宮廷でパスタを上品に食べるため、フォークを重宝し、それが国民にまで広がったとされています。
日本にパスタの文化が入ってきたのは、幕末の1883年。
外国人居留地であった長崎で、フランス人のマルク・マリー・ド・ロ神父が初めてパスタを製造したのが始まりでした。
イタリアでは2400年以上もの歴史がありますが、日本ではまだ新しい食材だったのですね!
パスタの大まかな分類
イタリア料理大好きな方に、まず押さえておいていただきたいのは、パスタ=スパゲッティではないということ!
パスタとは、単に小麦などを主体とした「生地」全体のことを指すのです。
(ですから、お菓子の生地もピザの生地もパスタ、ということになりますね。)
それではここからは、日本で言うところのパスタの分類をご説明しましょう。
パスタは大きく分けて、小麦だけで作られたものと、小麦と卵で作られたものに分けられます。
そしてそれぞれが乾燥パスタとしても、生パスタとしても存在するのです。
ここでイタリアの法律では、乾燥パスタに用いる小麦は、デュラム小麦のセモリナ(粗びき粉)と決められています。
乾燥したものを茹でた時に、もちもちした食感が出せるようにと、品質管理がされているのですね。
一方、生パスタは作り立てを茹でるため、このような決まりはありません。
パスタ生地の中にトマトやホウレンソウ、唐辛子、かぼちゃ、イカスミなどを練り込んで、風味や見た目のカラフルさを楽しむものもありますよ。
それぞれ、スパゲッティのように長いロングパスタと、マカロニのように短いショートパスタがあり、用途によって使い分けられます。
イタリア人にとっては、用いるパスタの違いがとっても大切!
ここでは、ロングパスタにフォーカスして、ぴったりな用途と共にご紹介します。
ロングパスタの種類一覧
日本人も大好きなロングパスタですが、イタリアンレストランに行くと色々な種類のパスタの名前があり、違いがわからないこともあるでしょう。
でもこの違いがイタリア人にとってはとっても大切!
中に穴があいていたり、幅が広めのパスタは、美味しいソースを絡めやすいという特徴もあります。
既に中に具をつめたロングパスタもあるのですよ!
また、口の中ではじける感触も重要視されています。
イタリアでも最も良く用いられるロングパスタの種類をご紹介しましょう。
スパゲッティ(spaghetti)
水と小麦だけのパスタ。
イタリアではn.5などと数字が記載されています。
大きくなるほど麺が太いのは決まっていますが、各メーカーによって基準がまちまちなので注意が必要!
イタリアでも日本でも最も好まれるパスタで、どんなソースにも合います。
特にイタリアで伝統的なソースをご紹介しましょう。
- カルボナーラ:卵、guanciale(豚の頬肉)、ペコリーノチーズ、ブラックペッパー
- プッタネスカ:トマト、ケッパー、黒オリーブ、アンチョビ
- トマトとバジルのトマトソース
ヴェルミチェッリ(vermicelli)
水と小麦だけの、ナポリのパスタ。
スパゲッティより太めで、「ナポリのスパゲッティ」とも呼ばれます。
スパゲッティと同じく、どんなソースにもあいます。
スパゲットーニ(spaghettoni)
スパゲッティ―と同じく水と小麦だけのパスタですが、スパゲッティより太いもの。
「oni」は「大きい、太い」という意味です。
スパゲッティと同じソースでOK。(より濃いソースにあいます。)
スパゲッティーニ(spaghettini)
スパゲッティ―と同じく水と小麦だけのパスタですが、スパゲッティより細いもの。
「ini」は「小さい、細い」という意味です。
スパゲッティと同じソースでOKですが、よりデリケートなソースにもあいます。
カペッリーニ(capellini)
水と小麦のみで、0.8~1㎜という極細のパスタ。
「細い髪」という意味で、あっさりしたソースや冷製で使うことが多いです。
(味の濃いソースだとパスタの風味が負けてしまうため)
- フレッシュトマトとバジルのソース
- 白身魚のソース
ビーゴリ(bigoli)
ヴェネツィアやヴェローナのあるヴェネト州のパスタ。
基本的には水と小麦だけですが、卵の入ったものもあります。
太めのパスタで、表面がザラザラしているのが特徴的。(ソースをもっと絡められる)
海に面した州のため、シーフードのソースが伝統的です。
- 鴨とトマトのソース
- アンチョビとオニオンのソース(トマトなし)
リングイネ(linguine)
ジェノヴァのあるリグーリア州で伝統的なパスタで、水と小麦のみでできています。
断面は楕円形となっており、長径は3㎜ほど。
- ジェノベーゼソース
- トマトの入っていない、シーフード系のソース
バヴェッテ(bavette)
水と小麦でできている、リングイネと同じくリグーリア州のパスタ。
断面は長方形です。
トレネッテ(trenette)
水と小麦でできている、リイングイネやパヴェッテとなリグーリア州のパスタ。
断面は正方形です。
断面が丸や楕円形、長方形に四角形…様々な形がありましたね!
同じソースで形の違いを口の中で楽しむのも、面白いでしょう♡
ちょっと変わった形のロングパスタ
ここからは、棒状でないロングパスタのご紹介です。
フェットゥッチーネ(fettuccine)
水と小麦と卵でできた、北~中央イタリアのパスタ。
きしめんのように平べったく、幅は3~5㎜。
表面はざらざらしており、濃い目のソースと良くあいます。
- ラグーソース(トマトと各種肉:イノシシ、ウサギ、シカなど)
- トリュフソース
タリアテッレ(tagliatelle)
フェットゥチーネと同じく水と小麦のみで、平べったいパスタ。
表面はざらざらで、幅はより広く、5~10㎜。
パッパルデッレ(pappardelle)
フェットゥチーネやタリアテッレと同じように水と小麦でできている、平べったいパスタ。
表面はざらざら、幅はもっと広く、2~3cmです。
より濃い味のソース(例えばトリュフソース)に良くあいます。
レジネッテ(reginette)
水と小麦だけでできており、南イタリア代表、ナポリのパスタ。
平べったい麺の両側が波打つ、とてもエレガントでユニークな形をしています。
ナポリのマファルダ・ディ・サヴォイア王女に捧げられたため、別名「マファルデ」とも呼ばれています。
まさしく、女王のドレスにあしらわれたレースのようですね。
- ラグーソース
ブカティーニ(bucatini)
ローマのあるラツィオ州の、水と小麦だけのパスタ。
スパゲッティより太く、直系5~6㎜ほどで、中心に穴があいています。
- アマトリチャーナ(白ワインで焼いた豚の頬肉の塩漬け、トマトソース、ペコリーノチーズ)
ズィティ(ziti)
水と小麦でできた、南イタリアのプーリア州のパスタ。
ブカティーニに似て中に穴があいていますが、より直径は太いです。
プーリア州では「ziti」は「恋人、夫婦」という意味で、昔は結婚式の食事に出されたものです。
長さの短いタイプ(ショートパスタ)もあり、どちらも濃い目のソースにあいます。
- ラグーソース(トマトと各種肉)
- トマトとシーフードのソース
カンネッローニ(cannelloni)
通常、水と小麦と卵でできたパスタ。(卵の入っていないものもあります)
直系約2㎝、長さは8~10cmで、生地の厚さは1㎜ほどです。
中に具を詰めてソースをかけ、オーブンで焼いて作ります。
中身の具の典型的なものをご紹介します。
- ミンチ肉
- 魚
- ホウレンソウとリコッタチーズのミックス
さて、いかがでしたか?
素材の味を大切に味わうイタリア人にとって、ソースとパスタの味わいのバランスをとるのはとても大切なことなのです。
イタリア人のファッションのバランス感覚は、食文化にも通じるものがありますね。
ちなみに、日本ではしばしばロングスパゲッティをフォークとスプーンで食べられますが、実はイタリアではNG!
小さな子供がフォークをうまく扱えないために、スプーンを添えることはありますが、大人はフォークのみで食します。
イタリアでパスタを召しあがる時は、どうぞご注意くださいね!
次回はショートパスタについてまとめてみますので、どうぞお楽しみに♡