
イタリアのヴェローナを舞台とした、美しい悲恋の物語【ロミオとジュリエット】。
シェークスピアの描いた物語として、あまりにも有名ですね。
映画としても作られてきましたが、最近人気を集めているのは2001年に初演されたフランス発のミュージカル【ロミオとジュリエット】なのです。
あまりに人気のため何か国語にも翻訳され、世界中で上演されています。
もちろん日本でもリニューアルを重ねながら上演されているのです。
美しく甘い旋律の楽曲があったかと思えば、若いエネルギーが爆発するかのようなパワフルなものまで、その楽曲がとても素晴らしいのですよ!
ロミオとジュリエットとは
1595年頃に初演された、イングランドの劇作家である「ウィリアム・シェイクスピア」によって書かれた戯曲です。
悲劇として上映されて以来、絵画やオペラ、映画など様々な芸術作品の素材として用いられてきました。
映画では1996年にレオナルド・ディカプリオ主演で製作された【Romeo+Juliet】は大変な人気を博しましたね。
舞台となったイタリアの街ヴェローナには、ロミオがジュリエットに一目会うために登ったバルコニーを思い出させてくれる「ジュリエッタの家」があります。(ジュリエットはイタリア語でジュリエッタとなります)
ここは2010年の映画【ジュリエットからの手紙】の舞台にもなり、ヴェローナ一番の観光地となっています。
また、ジュリエットの家の内部には1968年の映画【ロミオとジュリエット】で実際に使用された衣装や家具などが置かれ、観覧することができるのです。
この物語はただの恋愛悲劇というだけではなく、社会のしきたりや大人の理由によって自由を奪われた若者が、真の愛を貫き、その愛の力によって大人たちの憎しみが消えていくという、奥深いストーリーとなっているのです。
ミュージカル【ロミオとジュリエット】のあらすじ
ミュージカル版は、フランスの音楽家ジェラール・プレスギュルヴィックが作詞・作曲を行い、2001年にパリのパレ・デ・コングレ激情で初めて上演されました。
甘く切ないメロディーや、パワフルなロックミュージックなど、様々なジャンルの楽曲が織り交ぜられた、観客を一時も飽きさせない演出はさすがの一言。
フランス語のミュージカルとしては「ノートルダム・ド・パリ」と共に大人気のミュージカルとなりました。
日本では、小池修一郎氏による演出により、2010年から宝塚版や城田優主演のミュージカルが公演されています。
- ロミオ:モンターギュ家の息子
- ジュリエット:キャピュレット家の娘
- マキューシオ:ロミオの親友
- ベンヴォーリオ:ロミオの親友
- ローレンス修道士:両家の関係修復のため、ロミオとジュリエットの愛を手助けする
- ジュリエットの乳母:ジュリエットが心を打ち明けることのできる存在
- ティポルト:ジュリエットの従兄でジュリエットに片想いしている
- キャピュレット卿:ジュリエットの父
- キャピュレット夫人:ジュリエットの母
- モンターギュ夫人:ロミオの母
- ヴェローナ大公:ヴェローナを統治しており、モンターギュ家とキャピュレット家の対抗を鎮めたい
- パリス伯爵:キャピュレット卿が決めた、ジュリエットの結婚相手
- 死:死に触れられると命を落としてしまう
それでは、二幕構成のミュージカルのあらすじをご紹介しましょう。
イタリアのヴェローナの街には、二つの名門貴族「モンターギュ家」と「キャピュレット家」がありました。
両家の間には長年にわたり激しい確執が続いており、それは街中の人を巻き込んだ派閥争い、暴動を引き起こすまでになっていました。
ヴェローナを治めていたヴェローナ大公は、この問題を何とかして収束させたいと考えていました。
そこでとうとう、市内で闘争を起こした者は死刑にするという、厳しい法令を発することにしたのです。
モンターギュ家の息子ロミオと、キャピュレット家の娘ジュリエットは、両家の確執の中でお互いを見たこともないまま、しかしお互いを憎しむべき血筋として植え付けられて育ちました。
ある晩、ジュリエットの父キャピュレット卿は、ジュリエットにふさわしいパリス伯爵を結婚相手に選び、二人の出会いの場として舞踏会を開くことにしました。
そしてこともあろうか、モンターギュ家のロミオは、親友マキューシオやベンヴォーリオに誘われて、この舞踏会に素性を隠して潜り込んだのです。
それはヴェローナで闘争をすれば死刑に処するという、暗い政治の影を受け、ロミオが不安にかられていたため、元気づけようとした親友たちのアイディアでした。
しかしこのいたずらが、ロミオとジュリエットの運命を大きく変えることになったのでした。
お互いの素性をしらないロミオとジュリエットは、舞踏会でお互いを一目見て激しい恋に落ちてしまったのです…!
しかしその時、ジュリエットに想いを寄せる従兄ティポルトがロミオの存在に気付き、キャピュレット夫人に耳打ちします。
慌てて舞踏会から逃げ出したロミオたちですが、その時にはまだお互いが誰なのか、知りませんでした。
そして自宅に帰り、乳母からお互いの素性を明かされ、驚きと嘆き悲しみ、そしてそれにも勝る激しい愛を感じるのでした。
舞踏会がお開きになり、ジュリエットは自分の部屋のバルコニーで夜風にあたりながら、勇敢で美しいロミオへの想いを切なさと共に募らせます。
すると、彼女を呼ぶ声がするではありませんか。
その声は、一瞬で愛してしまったロミオ…!!
ロミオは大きな危険を侵してまで、キャピュレット家の建物によじ登り、ジュリエットに会いに来たのです。
そしてロミオはジュリエットに求婚しました。
両家は二人の結婚を決して許しはしないとわかっていながら、二人は愛の誓いを交わしました。
そして、ローレンス修道士に二人の結婚式を執り行うよう頼んだのです。
ローレンス修道士は最初、二人を思いとどまるよう諭しましたが、ロミオの「愛なしでは生きていけない」という言葉に心打たれ、二人の結婚式を執り行うことを引き受けたのです。
二人の結婚が、両家の長い憎しみの歴史にピリオドを打ってくれることを願って…。
二日後の午後、ローレンス修道士に見守られ、二人は結婚しました。
それを喜んでくれたのは、ジュリエットが心を赦す乳母だけでした。
第二幕
結婚式の翌日、ロミオはマキューシオとベンヴォーリオに、ジュリエットと結婚したことを打ち明けますが、酷く非難されます。
「他に女性はいくらでもいるのに、なぜジュリエットなんだ!?」と。
そこへティボルトが現われ、愛するジュリエットの心を奪ったロミオに戦いを挑みます。
ロミオは、自分がジュリエットと結婚し、ティボルトとは従弟の関係になったことを打ち明けられないまま、戦いを拒みます。
するとティボルトはロミオを侮辱し、挑戦を仕掛けます。
その態度に激高したマキューシオはティボルトの挑戦を受け、致命傷を負ってしまうのです。
自分のせいで命をおとすことになったマキューシオ…!!
ロミオは怒りに我を忘れ、何とティボルトを殺してしまったのです。
ヴェローナ大公はロミオに情けをかけ、本来ならば死刑のところ、ヴェローナからの追放という刑に処しました。
ロミオは死よりも耐え難い追放という刑に嘆き、ローレンス修道士に助けを求めます。
ジュリエットは従兄ティボルトの死を悲しみながらも、愛する夫の悲報に慌ててローレンス修道士の元へかけつけました。
そして二人は一晩一緒に過ごし、そしてロミオはローレンス修道士の保護の元、マントバへ逃亡しました。
そして自宅へ戻ったジュリエットに、キャピュレット卿はパリス伯爵と結婚するよう強要したのでした。
受け入れないならば、家から追い出すとまで迫る父に絶望したジュリエットは、ローレンス修道士に助けを求めます。
ローレンス修道士は、飲めば一晩仮死状態になる秘薬をジュリエットに与えます。
ジュリエットが悲しみの中で自殺を図り、葬儀を行い、そしてロミオのいるマントバへ逃がしてやる計画でした。
パリス伯爵との結婚式の前夜、ジュリエットはその薬を飲みました。
次に目を開けた時には、愛するロミオの笑顔がそこにあると信じて。
ローレンス修道士は、この計画の一部始終を手紙にしたため、ロミオ宛てに届けるよう使いをやりました。
しかし何ということか、その手紙は紛失し、ジュリエットの死を伝えるベンヴォーリオの方が先にロミオの元へ着いてしまったのです…!!
嘆き悲しんだロミオは、一目散にジュリエットの安置されている地下納体所に駆けつけ、そして愛しい妻の冷たい身体のそばで毒を飲み、自害してしまいました。
もう一度ジュリエットに会うための、唯一の方法だったのです。
そのすぐ後に、ジュリエットは目を覚まし…傍らで倒れているロミオを目にし、計画が失敗したことを知ります。
そして愛する夫の短剣をとり、自分の胸を突き刺して自害してしまいました。
宝である若い二人の死に打ちひしがれた両家は、今後は平和な関係を築くことを誓いあったのです。
愛と憎しみの交錯する曲目一覧
上の動画はフランス語バージョンの楽曲「憎しみ(La Haine)」です。
キャピュレット夫人とモンターギュ夫人の、両家への憎しみや悲観の叫びが胸につきささるナンバーですね。
この他にも「エメ(Aimer)」(愛の意)など素晴らしい楽曲が盛りだくさんですので、一覧をご紹介しましょう。
- Ouverture(オープニング)
- Vérone(ヴェローナ)
- La Haine(憎しみ)
- La Demande en mariage(結婚の申し込み)
- Tybalt(ティボルト)
- Tu dois te marier(結婚のすすめ)
- Un Jour(いつか)
- Les Rois du monde(世界の王)
- La Reine Mab (Je Rêve)(マブの女王)
- J’ai peur(僕は怖い)
- Le Bal(舞踏会1)
- L’Amour heureux(天使の歌が聞こえる)
- Le Bal 2(舞踏会2)
- C’est pas ma faute(本当の僕じゃない)
- Le Poète(結婚だけは)
- Le Balcon(バルコニー:愛の誓い)
- “Par amour(愛の為に)
- Les Beaux, les Laids(綺麗は汚い)
- Et voilà qu’elle aime(あの子はあなたを愛している)
- Aime(エメ)
第一幕
- On dit dans la rue(街に噂が)
- Cest le jour(今日こそその日)
- Le Folie(凶器の沙汰)
- Le Duel(決闘)
- Mort de Mercutio(マキューシオの死)
- Quel Est Le Prix (Vengeance)(代償)
- Duo du désespoir(神はまだお見捨てにはならない)
- Le Chant de l’alouette(ひばりの歌声)
- Demain(明日には式を)
- Avoir une fille(娘よ)
- Le Poison(服毒、ロミオの嘆き)
- Sans Elle(彼女無しの人生)
- Comment lui dire(どうやって伝えよう)
- Mort de Roméo(ロミオの死)
- La Mort de Juliette(ジュリエットの死)
- J’sais plus(何故)
- Coupables(罪びと)
フランス語バージョンをお聴きになって、日本語バージョンと比較してみるのも一興かもしれませんね。
感情を揺さぶる、とても魅力的な楽曲が満載ですよ!