
ローマのトッティが、2017年5月28日の最終試合の後、涙の引退発表を行いました。
2016-2017年のセリエA最後の試合である、ローマVSジェノア戦で3-2の勝利をおさめた後、大勢の観客の前で引退スピーチを行ったのです。
ジュニアチームを含め、28年に渡りローマのサッカーチームで活躍してきた王子トッティ。
引退スピーチを行いながら、声を震わせ涙をこらえきれないトッティの姿に、チームメイトやファンも号泣してしまいました。
彼のローマへの、そしてファンへの強い愛のメッセージに、きっと目頭が熱くなることでしょう。
彼の引退を惜しみながら、そのスピーチ全文をご紹介します!
トッティの歴史・活躍
フランチェスコ・トッティはイタリアのローマ出身。
ASローマのキャプテンであり、28年間もローマでプレイしてきた偉大なフォワードかつ攻撃的ミッドフィールダー。
「ローマと言えばトッティ」と呼ばれるほど愛されてきた彼は、ローマの歴代通算最多の得点記録を持ち、出場も最多となっています。
セリエA歴代通算得点ランキングは2位!
2度もセリエA最優秀選手に選ばれています。
トッティは1993年にわずか16歳でASローマの名門チームでデビューを果たし、翌年のフォッジャ戦でセリエA初得点を獲得。
同年よりレギュラーとして活躍し、21歳の時にキャプテンとなり、チームを引っ張ってきました。
年々正確なシュートは磨かれ、高い得点力を誇りながら、次のプレーを予測し周りを助ける能力もあり、万能的な選手と評されていました。
逆足やアウトサイドにも長け、微妙な軌道変化を得意とし、イタリア史上最も完璧な10番とされています。
生粋のローマっ子であるトッティは、ローマでプレイすることに大きな誇りがありました。
モントリオールへの移籍を薦められた時にトッティが言った言葉は「今、自分が全神経を集中しているのはローマだけだ」というものでした。
トッティはその甘いマスクと活躍から「ローマの王子様」と呼ばれ、特別な存在として愛されてきたのです。
退団セレモニーでの引退コメント全文
ローマVSジェノア戦の勝利の後、トッティの退団セレモニーが行われました。
トッティがこの日のために用意した引退スピーチは、手紙にしたためられていました。
その全文をヨーロピアンスタイル編集部が翻訳しましたので、ご紹介しましょう。
今でも僕にとって、サッカーは一番楽しいことです。
しかし、大人になる日はいつかやって来ます。
残念ですが、時が来ました。
2001年6月17日、(ASローマがセリエAの優勝決定戦でリードしていた時)試合中の僕たちは速く時が過ぎるよう願い、試合修了の合図を今か今かと待っていました。
でも時は皮肉なものです。
今日は、時が私を呼んで、「明日から大人になるんだ」と言いました。
「サッカーシューズを脱ぐんだ。今日この時から、おまえはサッカー競技場の芝の匂い、顔に照りつける太陽、そして湧き出でるアドレナリンの昂揚感も終わりだ。」
僕は最近、「どうしてこの素晴らしい夢から覚めなければならないのだろう?」とずっと考えていました。
子供の頃、楽しい夢を見ている時に母親に学校へ行くよう起こされるようなものです。
できることなら子供のようにもう一度寝て、夢を見続けたいです。
しかし、これは夢ではありません。
この手紙は私を応援してくれた皆さんに捧げたいです。
私の刻んだ歴史が、皆さんにとって大切な物語になったことを祈っています。
今日は最後のサッカーシャツを脱いで、畳みます。
でも、まだ終わりたくない。
本当は今、僕は恐怖を感じています。
電気を消して、ステージの幕引きをするのはとても辛いです。
どうかこれからも僕を応援してください。
皆さんのサポートがあれば、僕は次の冒険に出ることができます。
僕と一緒に切磋琢磨して頑張った人たちと、ローマのファンに感謝を捧げます。
ローマ市民として生まれ、ロマニスタ(ローマのチームを愛する人)として生きて来れたことは、僕にとって素晴らしい幸運でした。
このサッカーチームのキャプテンになれたことも、本当に光栄でした。
皆さんはずっと僕の心に残るでしょう。
そろそろ、更衣室に入ります。
子供として初めて更衣室に入って、今日大人として更衣室から出ます。
皆さんの為に、私の人生の28年間を捧げることができて嬉しかったです。
皆さん、愛しています!!
今後の活動予定
ローマのスポーツ・ディレクター(SD)に就任したモンチ氏は、トッティについてこう話しています。
「彼こそローマ。ローマの歴史を作って来たトッティから色々なことを教えてもらいたいと思っている。彼には私のそばで働いてもらいたい。」
トッティはクラブ合意の上、幹部というポジションに就任することになっているのです。
しばらくはモンチ氏のアシスタントとして働き、将来はローマサッカーチームのスポーツディレクターになることが予想されています。
ローマを愛し続けたトッティの活躍は、これからも私たちの心に生き続けることでしょう。
素晴らしい感動をありがとう!!
これからも活躍を見守っていきます。